中間所得層のコープ住宅への転換も

金倉(1992)は,ジェントリフィケーションとは対照的な一見矛盾する現象
である建物所有者の権利放棄あるいは管理放棄も,低所得層の住宅問題を象徴
的に示すものと指摘している。このようなジェントリフィケーションや不動産
放棄に対して,「コミュニティ・ペースト・ハウジングは低所得層の住宅を確
保するための戦術として,コープ・コンヴァージョンを発達させてきた」
が,厳密にはコープ・コンヴァージョンはジェントリフィケーションな
どによる中間所得層のコープ住宅への転換も含まれる。しかし,低所得層のた
めのコープ・コンヴァージョンは,ジェントリフィケーションの高質化の圧力
に対して,賃貸の放棄住宅のストックを修復し,コープ住宅に転換する方法で
あり,「居住者の相互関係を強調し,低所得層が安定して居住できるアフォー
ダブル住宅2)を生み出す方向に狙いがある。(中略)コープ・コンヴァージョ
ンは放棄住宅を修復して住みつづける,あるいは空き家の放棄住宅に入り込み,
そこに住みつく行動である」。

お金をかけても大規模なリフォームをしないで地震対策ができる場合もある。←いろいろな物件を見て知識を得よう。

平山(1993)によると,コープ住宅は住宅放棄への抵抗であり,1960年代
から70年代にかけてのニューヨークの低所得層の不安定な住宅ストックの状
態において,「インナーエリアでは,低家賃住宅の家主は近隣の荒廃,借家人
の低所得化,不動産税の増大,維持・管理コストの上昇などにより,合理的な
収益は期待できず,所有物件の“放棄”を選ぶようになった」。

一方で,ジェントリフィケーションにより低家賃住宅の高質化が促され,中間
所得層,高所得層の住宅,商業施設への転換が進み,高質化に起因する「立ち
退き」の被害を受けた世帯が急増した。

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