親の個室

子供部屋におしのけられる親の個室
我が国の個室をめぐる状況の特徴は家の中で子供部屋が非常に高い地位を与えられているということです。欧米の労働者階級の伝統的な住まいでは部屋数が不十分な場合、まず親の寝室の確保が優先されます。それに対して、日本では親の部屋は確保できなくても子供にはそれぞれ専用の部屋を与えようとします。このような住まいの中での個室のあり方を反映してか、親の個室に関する議論は子供部屋のそれに比べて少ないようです。とくに父親の場合はまだほとんどありません。したがって、ここでは親の個室についてまず、母親の個室の問題について考察し、ついで父親の場合について若干触れることにします。ただ親の場合、個室が夫婦の寝室として共有されることが多いため、以下の議論でも時に両者の寝室を含む場合があります。○母親の個室.母親の個室l希望は強いが低い所有率.まず、どれくらいの既婚女性が自分の部屋といえる空間を確保しているのでしょうか。個室を希望する女性は約六割ですが、親との同居、意識・態度などで違いがあります。すなわち、親と同居している場合、自立的な態度が強い女性ほど個室所有の希望が強く現れるようです。マンション 売る 貸す ←地下室を含めた不動産情報はこちらから。しかし、実際に個室を所有しているのは二割にすぎません。ただ、個室に替わる空間(夫婦の寝室、仕事部屋、コーナーなど)は三四%の女性が持っていると答えています。また、別の調査では数字はさらに低くなり、六%と報告されています。次に個室を必要とする理由をみると、「読書」「趣味」「家族からの解放」などが多く、「一人で気がねなく何かをすることができる」ということを可能にする空間を求めていることがわかります。逆に個室がいらない理由としては、「居間が個室的」というような代替空間の存在と同時に「団らんが減る」「一人になりたくない」「家族と一緒がいい」というように「家族重視」の考え方が強いことがわかります。

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子供部屋=勉強部屋という考え方

私たちは子供部屋を指すときによく「勉強部屋」という言葉を使います。この呼び方はそうした背景をよく表しているといえるでしょう。しかし、子供部屋はいろいろな使われ方をし、心理的にも重要な意義をもった空間です。それに対して勉強部屋という呼び方は子供部屋を勉強中心にとらえていることを意味します。ところで、不動産に関するあらゆる情報は、家 高く売る ←こちらから収集できます。したがって、それは子供部屋の一面のみをとらえた、歪んだ考え方でもあるのです。子供部屋の今後を考えるとき、子供部屋=勉強部屋という考え方からどれだけ親が自由になれるかが一つのポイントであるような気がします。この章では子供部屋の実態とそれが発達に及ぼす影響について考えてみました。しかし、調査結果が示すような余りに早い個室保有からはあたかも子供部屋がないと勉強できない、自立心が育たないと考えているような印象さえ受けます。誰もが個室などもっていなかった時代から誰もが個室をもてる時代になった今、もういちど子供部屋というものを考えてみたいものです。

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子供部屋の今後を考える

子供部屋の問題について実際の資料をもとに考えてきました。最後に子供部屋に関係した今後の問題に少しふれておきます。・受験競争の激化が歪めた子供部屋まず子供部屋に対する考え方、とくに親の考え方について述べておきます。はじめに子供部屋の普及率の高さにふれましたが、これほど子供部屋が普及した理由はなんでしようか。外山によれば住宅需要の中で子供部屋が注目されるようになったのは一九七○年前後のことだといいます。したがって、その普及を考えるにあたってはこの一九七○年前後の我が国の子供をめぐる状況を考えることから始めてみましょう。子供部屋が普及しはじめた一九七○年代は実は戦後の第一次ベビープームに生まれた子供たちが高校に進む時期にあたります。しかもこのころ、子供の高校進学率は八○%にまでなっています。大学.短大などの高等教育機関への進学率もそのころの一○年間で二○%から四○%に上がっています。したがって、まさに有名校への受験競争が激化した時期ということができるでしょう。一戸建て 売れない ←こちらのサイトからたくさんの間取りや構造などを見られます。同時に、この時期はその前の高度経済成長の恩恵が大多数の国民に広がり、さまざまな問題点を内包しながらも国民生活が以前とは比べものにならないほどの豊かさで均質化した時期に当たります。このような背景が親に「勉強のための静かな場所を子供に与えよう」という気持ちにさせたとしてもそれは当然のことでしょう。実際、親が子供部屋を与える最大の理由は「落ちついて勉強させたい」と「自主性を養う」の二つですが、前者の理由の方が強く、しかも低年齢でそれが顕著であることを先の調査は教えてくれます。つまり、子供部屋の急速な普及の背景には受験競争の激化への対応ということがあったのです。

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子供部屋に鍵を付けるか否か

・子供部屋に鍵をつけるのは問題もうひとつ、子供部屋の構造についてしばしばいわれることに、鍵を与えるかどうか、ということがあります。子供のプライバシーということで、鍵を与えてもよいのではないか、という意見もあるかもしれません。我が国の子供部屋の場合、鍵はあまりついていないようです。筆者の調査でも他の調査でも、それは一割に満たない数字です。しかしその影響はあまり良いとはいえないようです。というのは先の閉じこもりの調査でみると、鍵のついている部屋をもつ学生では家族との団らんに参加する傾向が低いという結果がでているからです。たしかに、プライバシー確保ということでは子供は鍵を欲しがるかもしれません。←こちらでのサイトではいろいろな住宅情報を取り揃えております。しかし、プライバシーの維持は別の方法-親が子供の空間を尊重する-でも可能です。これと関連して我が国の場合、親が勝手に子供部屋に侵入したり、家族の物を置いたりして、子供の空間に侵入していることがありますが、むしろそちらの方が問題だと思われます。

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どのような子供部屋をつくればよいか

子供部屋の建築学的条件
これまでは単に子供部屋の有無が重要なのではない、ということを強調してきました。しかし、子供部屋をつくるにあたってやはり何か注意しなくてはいけないことがあるのではないか、という危倶は残るかもしれません。とくに建築家たちがその著書でいろいろ書いていることを読むとますますそういった気持ちになるのも仕方ありません。そこで二つの点について考えてみます。・家族の団らんの場と子供部屋の関係建築家たちがしばしば指摘することに、子供部屋を与えると子供がそこにこもりっきりになり、他の家族とのコミュニケーションがなくなってしまうということがあります。この問題は先の北浦らの調査で否定されているのですが、それでもこの可能性を少なくするために、自分の部屋にゆくのに家族の団らんの場(居間など)を通過するような、あるいはそこから見えるような配置にすることが大切だ、ということがあります。たとえば戸谷は小説「赤毛のアン」のグリーンゲーブルの家を例にとって「アンが家に飛び込んで来たとき、必ず居間の側を通過するような空間の取り方は、家族のコミュニケーションを図るうえで、きわめて重要な役割を果たしていた。」と述べています。これはなんとなく説得力のある話のように思えます。有った方が良い設備やしっかり固定したり守ったりしなければならない設備もある。←いろいろな設備はこちらのサイトから確認してください。しかし実際そうなのでしょうか。また実際の裏づけがあっての議論なのでしょうか?実はこうしたことを調べた研究はほとんどありません。筆者は家の中での子供部屋の位置と子供が自分の部屋にこもる傾向(ここでの「閉じこもり」は、前に書いた無気力症のものとは違います)との関係を男子大学生について調べたことがあります。それによると、八割以上の家では子供部屋は別の部屋を通らなくても行くことができます。また、六割ほどの家庭で団らんの場とは別の階に子供部屋をおいていましたし、別棟を合わせると七割の家庭で子供部屋は空間的に団らんの場から離されていました。もし先の議論がある程度あてはまるとすれば、多くの家庭で親子の断絶、コミュニケーション不足が起きているという、ゆゆしき事態がでてくるはずです。しかし、そういったことはあまりありません。

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